[父の終活と母の形見] Vol.6
仮納骨してからお墓を探す

[父の終活と母の形見]  Vol.6  仮納骨してからお墓を探す

この『父の終活と母の形見』では、娘の立場から、父がおこなっている終活と、心臓の病で2年前に突如この世を去った母がのこしてくれた遺品について、それぞれお話をしていきたいと思います。終活といっても、何を整理するかは家庭によって様々かと思います。このコラムで綴るお話はあくまで我が家の一例ですが、このコラムをつうじて「これはやっといた方がいいな」「そこを整理しておかないと子供が困るのか」といった、皆様の終活への助力や興味につながれば幸いです。


遺骨を納めるお墓がない !

母が亡くなったとき、私ははじめて我が家にはお墓がないことを知ったのでした。
元々我が家の墓は山陰地方の田舎にありましたが、私自身もこれまで殆どお参りに行ったことがありません。
「このままここに墓を置いておいても、子供や孫の代になったときに墓参りする人はいないだろう」
そのように考えた私の両親と親戚一同は、話し合いの末、三年ほど前に先祖代々のお墓を撤去し、お寺での永代供養へ切り替えていました。
永代供養とは、お墓の継承者に変わって寺院や霊園が遺骨の管理と供養をしてくれることを指します。遺骨自体を管理 ・ 供養してくれるのであって、個別のお墓は存在しません。我が家のように、遠く離れた場所にお墓があるなど、様々な事情でお墓を管理することが難しい、またはお墓参りに行けない方に代わって、最近増えてきている供養方法です。
しかし、先祖の遺骨を永代供養にしたとはいえ、父と母は自分たちの将来のお墓をどうするかは決めかねていました。先祖と同じように田舎のお寺で永代供養してもらう気はなかったようで、「子供たちが管理しやすい場所に、改めて自分たちのお墓を」と考えていたようです。
そのようなときに、母は突然亡くなってしまいました。

「お母さんの遺骨は、どこに安置するの ? 」
そうして私たち家族は、母の急逝によって、急遽その判断を迫られることになります。
今回は、母の遺骨の安置場所がないまま、私たち家族が母の遺骨をどのように管理 ・ 供養するに至ったかについてお話したいと思います。

遺骨をどこに安置すればよいか ?

葬儀が終わったあと、私たちがまず取り掛からなければならなかったのは、四十九日の法要の手配でした。
四十九日の法要とは、故人が亡くなって四十九日目に迎える節目の法要のことです。仏教では亡くなった人は四十九日に極楽浄土に行けるかどうかの最後の審判を受ける、と考えられており、遺族は故人が極楽浄土へ行けるようにお祈りをします。
一般的にはこの四十九日の法要をしたあとに納骨する場合が多く、私たち家族はこの法要のあとに母の遺骨をどこに納めるべきか、できればそれまでに決めたいと考えていました。
しかし、そうは言っても四十九日の法要までには、残り一ヶ月そこそこしかありません。それまでにお墓を決めるというのは、現実的にはなかなか困難に思えます。また、お墓を持たない私たち家族には、身近な場所で頼るお寺もなく、四十九日の法要すらどこで執り行えばよいのか頭を悩ませていました。
そのようなときに知ったのが、納骨堂の存在でした。

納骨堂で一時的に仮納骨をする

納骨堂とは、骨壷を収蔵し、供養していただける施設です。私は知人に、都内にある納骨堂をご紹介いただき、四十九日の法要とお墓について悩んでいることを、納骨堂のスタッフに相談しました。
「四十九日の法要だけ納骨堂の本堂で行うこともできますし、そのあとにご遺骨を仮納骨というかたちで一時的にお預かりすることもできますよ」
「え、仮納骨 !? 」
そのようなことができるとは、私たち家族全員、目から鱗です。
しかし、お墓が決まったあと、問題なくすぐに返してもらえるのか……。そのような私の胸のうちを見透かすように「別でお墓が決まれば、ちゃんとお返ししますので大丈夫ですよ」と、スタッフの方が優しくそう言ってくださいます。
更には、一年間経ってまだお墓が決まらない場合には「もう一年更新することも可能です」という特典付き。
「お値段は……?」おそるおそる尋ねる私に、納骨堂のスタッフは「年間二万円です。他には一切費用はかかりません」とにこやかに答えてくれました。
私たち家族のお墓探しに、光明が見えた瞬間でした。

四十九日の法要についても、有難いことに希望する宗派のお坊様の手配から、法要後のお斎(会食)の手配まで、すべて対応していただけるとのことでした。
私たちは、すぐにお願いすることに決めました。
「あぁ、よかった ! 」
法要をどこで執り行うかという悩みと、この一ヶ月余りでお墓を決断しなければならないのでは、という無理難題から解放されて、私たち家族は一様に安堵しました。

そうして私たち家族は、その後、約一ヶ月半後に納骨堂で四十九日の法要を無事に執り行い、母の遺骨もそのまま納骨堂で預かっていただくことになりました。一年間という猶予を得て、私たち家族はじっくりと今後のお墓について考えることができるようになったのです。

仮納骨している間に、じっくりとお墓探し

これは後日談になりますが、私たち家族はその後希望するお墓を見つけ、仮納骨は一年間で終了しました。
「ここに、そのまま納骨しても良かったくらいだね」
家族でそのようなことを話すほど、納骨堂のスタッフの方々には、最後まで本当に良くしていただきました。

身近な家族が急逝したとき、私たち家族のように遺骨の安置場所が定まっておらず、「急いで決めなければ」と慌ててしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「どこにお墓をつくるか ? 」「そもそもお墓は必要なのか ? 」など、代々継承されるお墓選びを決めるのは容易なことではありません。
そのようなときは、まずは納骨堂など仮納骨していただけるところを探し、一度心を落ち着かせてからご検討されるのも良いかと思います。
焦らず、じっくりと、ぜひご家族にあったお墓を見つけてください。

この記事を書いた人

野村みどり
ライター / プランナー 
野村みどり(ノムラ ミドリ)
あわせて読みたい