お寺とのお付き合いはどうしていますか?「檀家」のメリットとは?

檀家とは?檀家になるにはどんな手続きが必要なの?

お寺とのお付き合いはどうしていますか?「檀家」のメリットとは?
檀家とは、代々、供養や法要を行ってもらう菩提寺を利用している家のことを指します。檀家制度の淵源は、江戸時代初期に敷かれた寺請制度にありますが、現代においてはお寺にお墓や納骨堂を有している家のことを言います。公営や民営の霊園に墓地を所有していても、一定の寺院の檀家であるとは限りません。

檀家となっていない家が寺院の檀家となることを「入檀」と言います。入檀するには、一般的に所定の手続きが必要になります。檀家契約書や墓地契約書を寺院に提出した上で、10~30万円程度の入檀料を支払うことが一般的です。また、寺院に位牌を安置する場合は、別途10万円程度の費用を支払う必要があります。

一見すると専属となる寺院を定めるだけで経済的負担のみが大きいように見える入檀。離檀などの際も一定の制約がかかることが多いのですが、その一方で享受できるメリットもあります。留意しておくべき点を十分に把握し、実際に入檀するのかを斟酌するようにしましょう。

菩提寺からは簡単に離れられない!?離檀の際の制約とは?

檀家となる際には入檀料を支払わなければならないため簡単においそれと檀家となることはできませんが、逆に別の寺院の檀家になる際や、檀家そのものであることを辞めようとした際にも制約がかかるため、簡単に菩提寺の檀家を抜けることはできません。

檀家であることを辞めることを「離檀」と言いますが、この離檀の際にも一定の手続きが必要になります。まず、檀家を辞めるに当たって菩提寺からお墓を引き上げる必要が生じますが、これに当たって自治体から改葬許可証を受ける必要があります。この改葬許可証は、先に墓の管理者から改葬の許可をもらった上で自治体に届けて発行してもらわなければならないため、自分で許可証を発行してもらって好き勝手にお墓を移すことはできないのです。

また、離檀には入檀の際と同じように料金を菩提寺に支払う必要があります。離檀料の相場としては、法要1回分と同程度、約5~20万円程度が一般的です。しかし、最も警戒すべきはこうした手続き上や経済的な負担ではなく、離檀の際に発生する菩提寺との軋轢だと言えます。どうしてもやむを得ない事情で檀家を辞める場合は、相応の礼節を持って当たらなければなりません。

実際に檀家になるメリットって何なの?

檀家になると相応の制約がかかってくるのは事実ですが、それとは表裏一体となるメリットも享受することができます。

まず「檀家になる」ということはお寺との親密な関係性を構築するということですので、手厚い供養が受けられます。昨今は住宅事情などにより頻繁に墓参りが行えない家庭が増えてきましたが、そのような場合でもお寺の住職が代わって法要を行ってくれます。また寺院墓地には専属の管理者がいる場合が多く、年1~2回の墓参りであろうとも綺麗に保守管理を行ってくれる点なども魅力の一つでしょう。

お寺に法事や葬儀の相談や案内を受けられるようになるという点も、檀家になるメリットの一つです。相談だけであれば葬儀業者などでも受けられますが、年忌法要などに先んじて案内を行ってもらうためには檀家になるより他にはありません。また、こうした法要や不意の葬儀の際に優先的に供養をしてもらうことができます。お盆などの繁忙期でも優先してくれる場合が大半ですので、法要の漏れを無くして先祖を手厚く供養したい人にとっては檀家になるメリットは大きいと言えるでしょう。

檀家になる場合に注意しておくべき点は?

一方で、檀家になるデメリットが全く無いのかと言われるとそうでもありません。

まず先述したように、入檀や離檀の際には相応の手間や経済的負担がかかります。これ以外にも「志納料」と言われる会費のようなお金を毎年支払う必要があります。そもそもお寺も本山への上納金やお堂の改築、住持の宸山式などでお金がかかります。「檀家になる」ということは、こうしたお寺の経済的負担を支える義務を負うことであるため、檀家となることと経済的負担は不可分なのです。

また檀家になって菩提寺を持つことで、その菩提寺の宗派に即した法要のマナーに従う必要が生じます。唱和するお経や法要の際の作法の違い程度であれば、宗教に対する余程の理念でも持ち合わせていない限りは問題にならないかもしれません。しかし、一定の行事への参加が求められたり、他の寺院にお願いして供養してもらうといったことができなくなる場合があるため、そのような制約を受け入れておく必要があります。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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