意外に見落としがち!?相続前3年以内の贈与の注意点

誰もが直面する相続税で後悔しないために

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「2025年問題」という言葉が最近は頻繁に聞かれるようになりました。これは団塊の世代(1947年から1949年生まれ)がすべて75歳以上になり、人口の20%が75歳以上という超高齢化社会に突入する問題です。この頃には日本社会が世界でも例を見ない人口構成となります。

第一次ベビーブームで生まれた団塊の世代の子どもたちは団塊ジュニアとも言われ、その頃には50歳を迎えようとしているしょう。当然ではありますが、これから日本では相続に関する相談や案件が増えてくることが予想されます。

当事者にならなければあまり馴染みがなく、複雑な相続税に関する法律や節税の仕組みをしっかりと把握している人は少ないのではないでしょうか。親が元気なうちは相続の話はしにくいですし、気を悪くするのではと思ってしまう人も多いことでしょう。しかし事前に準備と対策をしていないといざその時が訪れた際に後悔する結果になりかねません。

相続する財産を減らすのが最も有効な節税対策

まず相続税を節税するなら、相続する財産を極力減らすことが基本です。相続する財産が多いと相続税も高くなるのは当たり前の話です。それで多くの人は、生前に自分の財産を配偶者や子どもたちに移転することで相続税を減らすように努めます。

しかし、当人が亡くなる3年以内に贈与した財産は相続税の対象になるため、元気なうちに財産移転を始める必要があります。「大病をしたこともないしまだ元気だから大丈夫」と思っていたら、急に健康状態が悪くなり先行きに不安を覚えることもありえます。もし死を意識してから財産を贈与するなら相続税の節税という観点からすると効果が薄れてしまうことになるでしょう。

そこで不動産や株式など多くの財産を持っている人は、贈与や売買によって早めに財産を整理する必要があります。贈与については1年で110万円まで基礎控除を利用することができるため、計画的に生前贈与をすること大切です。

110万円の控除を利用して、3年以上前からしっかり準備

財産を贈与した場合には110万円の基礎控除を受けることができ、それを超えた場合には課税対象となり贈与税を納めることになります。

ここで注意しなければならないとのは、財産贈与が行われたのが贈与者が亡くなる3年以内であった場合には相続税として課税されてしまうことです。そして課税額は相続された時ではなく、贈与された時の時価で決められます。しかも贈与であるなら利用できた110万円の基礎控除は適用にならず、110万円以下の贈与であっても課税対象になってしまいます。

もちろん贈与税と相続税が二重で課税されることはなく、既に支払い済みの贈与税は控除として差し引かれることになります。この時、延滞税や加算税については控除の対象にはならないので注意が必要です。

また婚姻期間が20年以上ある配偶者への財産贈与は、2,000万円までは相続税の計算に含まれません。たとえ相続開始の3年以内に贈与されたとしても、この場合は2,000万円までは非課税となります。

専門家に相談して有効な節税対策を

少し複雑な贈与税や相続税の仕組みです。3年以内は相続税になり、3年以上は贈与税を利用できるというのが基本ですが、配偶者への贈与や金額などによって計算方法が変わる例もあります。また相続時精算課税制度など法整備もたびたび行われていることから、生前贈与や相続税に関する質問や疑問は専門家に尋ねるのが賢明です。

支払う税金は少なくしたいというのが誰もが思うところです。基本を知っていれば、事前に調べてより有効な節税対策をすることができます。贈与者とは60歳以上、受贈者とは20歳以上と定められています。自分や家族が適用範囲の年齢になったら、早めに家族で話し合い有効な対策と取ることをおすすめします。

法律では駆け込みの節税対策を増やさない仕組みとなっていることを忘れてはなりません。大切な財産をスムーズに、より多く残せるようにしたいものですね。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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