古くから伝わるお盆の風習にはどのようなことがあるのか

日本に伝わるお盆の風習を知る

お盆の風習は地方によって異なる風習がありますが、一般的に伝わるものとして精霊馬があります。精霊馬はお盆に家へ帰ってくる先祖の乗り物です。お迎えするときはキュウリで作った馬、帰るときはナスを牛に見立てるのが特徴です。動物らしさを出すために野菜はできれば形が少し反っているものを用意しましょう。足は割りばしで作りますが、馬であれば長めにカット、牛であれば馬より短くカットします。通常はキュウリとナスで馬と牛を作るのですが、故人が好きだったものにアレンジするのも人気です。たとえば、故人が車好きだった場合は車を作るのもよいでしょう。

飾る際には、精霊棚を作ります。あの世から帰ってきた先祖は、家にいる間は精霊棚で過ごすといわれているからです。そのため、精霊馬もこの精霊棚に飾ります。精霊棚は仏壇の経机や適当な机があれば台として使いましょう。その上に真菰と呼ばれているイネ科の草で作られたゴザを敷き、その四つ角にそれぞれ笹竹を立てます。笹竹については宗教によって必要かどうかが変わるので、あらかじめ確認をしておきましょう。笹竹の上部を縄で結んで結界を作ります。縄にはほおずきや稲などを挟み、机の一番奥に位牌、手前にはお供えと精霊馬、香炉を置いて出来上がりです。宗教によっては「おらが」と呼ばれている麻の茎ではしごを作り、棚にかけます。

精霊を精霊棚に置くときは、お迎え用の馬(キュウリ)を飾るときは顔を家の中に向けます。帰るときに乗る牛(ナス)は玄関や屋外に向けて置きましょう。お盆が終わったら、精霊馬を処分しなければなりません。手を合わせてから塩をかけて清め、白い半紙などに包んで一般ゴミとして捨てます。自宅の庭や畑などに持っていって土にかえしたり、菩提寺で処分してもらったりすることも可能です。ただし、先祖が使った乗り物なので食べてはいけません。精霊馬とともに迎え火も用意します。先祖が迷わず家に帰ってくることができるようにと願って用意するもので、かつてはお墓で灯した提灯の火を仏壇に使いました。当日は午前に精霊馬や精霊棚を用意し、仏壇をきれいにします。午後からお墓参りをして、夕方の5~6時頃に家の玄関先で焙烙の中でおがらに火をつけて手を合わせましょう。これが迎え火で、先祖はこの煙によって家の位置がわかります。お盆の最終日には送り火を行います。送り火の方法も迎え火をしたときと同じです。ちなみに、送り火については地方によって灯篭流しや精霊流しをして送り火代わりにするところもあります。

地方によって違うお盆の迎え方

マンションや共同住宅の場合は本来の迎え火をするのが難しい事情もあるため、おがらを燃やす代わりに提灯を迎え火にするのがおすすめです。お盆用の提灯が販売されており、置くタイプと吊るすタイプがあります。デザインもさまざまあるので、好みで選んで問題ありません。提灯を設置する場所は仏壇もしくは精霊棚の前です。可能であれば一対飾ります。もし、初盆であれば、柄入りの提灯以外に白い提灯も用意しましょう。白い提灯は初盆用なので、終わった後は燃やします。地方独特のお盆の風習もあります。たとえば、青森県ではお盆に法界折という弁当を供え物にしますし、石川県はキリコと呼ばれている灯篭を持ってお墓参りをするのが風習です。一般的には、迎え火をして先祖が迷わずに家に帰ってくることができるようにします。しかし、宮崎県ではお墓の前で松明を燃やしてろうそくに火をつけ、それを消えないように自宅まで持って帰ることで直接先祖を家まで連れ帰るというのが風習です。

沖縄のお盆

日本の一般的なお盆とは少し異なる風習があるのが沖縄です。沖縄のお盆は、親族が集まって先祖の供養をします。平御香という線香、あの世専用のお金である打紙を用意しなければなりません。また、先祖へのお供え物である重箱「御三味」も必要です。お盆で先祖を迎える日には仏壇にお供え物をしたうえで提灯に灯りをつけます。その後は集まった家族がひとりひとり線香を持って玄関前に移動しなければなりません。家長が名前と住所を名乗ってから「ウンケーサビラ(迎えにきました)」「メンソーレ(いらっしゃいませ)」と先祖に伝え、線香を持った状態で家族で仏壇に戻って線香を立てれば完了です。

このように地方ならではの歴史あるお盆の風習があり、それぞれの思いを胸に先祖を迎えます。この機会に自分が住む地域の風習を調べてみるのもよいでしょう。

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