反対運動も多い葬儀場建設【葬儀場はどこに建設してもいいの?】

反対運動が多い葬儀場建設

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近年、家族葬をはじめ葬儀形式が多様化、小規模化する中、それに対応した式場建設が相次いでいます。葬儀場が増えるに従い、市街地や住宅地に式場が設けられるケースも増えてきました。

近所に葬儀場が建つことに対して、嫌悪感を抱く住民もいます。同じ感情を持つ住民が多数いた場合、大規模な反対運動へとつながることがあります。反対の理由としては、葬儀場の存在そのものが死を連想させ不安になる、葬儀のたびに悲しい思いをしなければいけなくなる、出棺に鉢合わせるのが嫌だ、などの心理的な理由がまず挙げられます。次に、常に線香の匂いが漂う、駐車場に多くの車が行き来し危険である、大勢の知らない人が近隣を通過するなど、生活上の快適さや安全を妨げることも理由とされます。

反対運動の主体としては、住民数人の有志から、町内会レベル、さらには独自の市民団体を形成するレベルまで様々です。担い手たちは、勉強会や話し合い、デモなどを行い活動を進めます。

法律上、葬儀場はどこに建設していいか?

「墓地、埋葬等に関する法律」では火葬場や墓地、納骨堂に関する建設規制が定められていますが、葬儀場に関する規制がないため、葬儀場の建設については都市計画法や建築基準法に基づいて実施されることになっています。

火葬場がなく通夜や告別式のみ行う葬儀場は、都市計画法や建築基準法上「集会場」として位置づけられています。この集会場は、一定の用途地域を除けば、基本的に市街地のどこにでも建設することができます。

都市計画法上、葬儀場が建設できない用途地域は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域と定められています。いずれも良好な住宅環境を守るために厳しい制限が課されている地域です。

ただし自治体によっては、住民の意向を汲み独自の条例や協定を定めている場合があります。したがって、葬儀場を建設する場合は、法律と自治体のルールいずれの確認も必要になります。

住民の反対を押し切っても建設できるのか?

法律や自治体のルールを遵守していれば、葬儀場を建設することができます。住民による反対があろうと、法律で定められた手順さえ守っていれば、特に問題はありません。反対運動が起こった地域でも、最終的に葬儀場が建設され、法的責任は問われなかったという例は多くあります。

しかし葬儀場は地域に密着した建物であり、地元住民の理解や協力がないと経営がうまく成り立たないのも事実です。したがって葬儀社は、新たに斎場を建設する際に、住民に向け説明会を何度も開催し、合意形成を図ろうとします。たとえば住民の意向を受けて外観や運用に工夫しながら、双方の妥協点を模索するなどです。

また建設後も、町内会に協力したり地域イベントを開催したりして、地域社会と交流を行う葬儀場もあります。このように、住民の反対について法的な効力はありませんが、住民の理解を得るため葬儀場は様々な取り組みを行っています。

最近の葬儀場は外観などに配慮が

最近の葬儀場では、建設技術の発達も相まって、近隣住民に配慮した様々な工夫がなされています。

たとえば線香の匂いなどが漏れないよう特殊な換気フィルターを採用したり、住民に危険が及ばないよう駐車場の位置や大きさを工夫したりなどです。駐車場はなるべく大通りと接して設置することで、不特定多数の車や大型マイクロバスが狭い路地を走ることを防いでいます。

また出棺に際しても、配慮がなされています。住民の目に触れることがないよう衝立を用いたり、建物の周辺にフェンスや塀、生け垣などを設け敷地内が見えないようにしたりといった方法です。

看板や建物の外見も、暗い雰囲気を連想させないような心配りがされている場合があります。「葬儀場」ではなく「セレモニーホール」という名を利用したり、ガラス張りや明るい色調の壁を用いた施設にしたりしています。

このように地域住民の負担とならないような配慮が、次々とされるようになっているのです。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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