形見としての「遺髪」の取り扱いについて

遺髪とは?

形見としての「遺髪」の取り扱いについて class=
遺髪とは、故人の形見の一つであり、故人の体の一部であったことからも、形見としてこれ以上に関係の深いものはないと考えられることもあります。遺髪を切り取って残すことそれ自体は、古くからあり、最近始まったことではありません。遺族や葬儀社の担当者が、ご遺体から髪の毛を切り取って残すことは、多くはないとしても、珍しいことでもありません。これは、外国にもあることで、人間の自然な感情の一つです。

遺髪は、事情があって遺骨の代わりに墓に埋納したり、魂の平安を願って神社仏閣に奉納したり、形見として自宅で保管したりと、様々な形で保管されます。遺髪の扱われ方は様々で、遺族の特別な思いで、それぞれの形となって保管されます。

いずれにせよ、遺髪を残して供養することは、誰もがする社会習慣ではないにしても、そうする人がいたとしても、誰もがそのことを理解できることだと思われます。故人との繋がりを維持したいと思う場合、遺髪を残すことが、その一番の方法になるかもしれません。

遺髪の保存方法は?

髪の毛は、直射日光、特に紫外線に長期間当てないよう注意が必要になります。有機物全般に言えることですが、紫外線を受けることで分子が破壊され劣化します。髪の毛も例外でなく、含まれているメラニン色素が破壊され、色が褪色します。また、髪の毛の強度も劣化し、切れやすくなる可能性があります。

また、湿気も大敵であり、カビが生えたり雑菌が繁殖する可能性を高めますので、少量の乾燥剤と共に密閉するのが最適です。このような形での密閉ができない場合、湿気が髪の毛に取り付かないように、吸湿性があり通気性の高い素材、例えば、和紙などで包んで湿気のこもりにくい冷暗所で保管すると良いでしょう。

ただし、このようにすると、故人の遺髪を目立たない場所に押し込むことにもなるわけで、邪魔者として扱っている感じにもなり、そのことに罪悪感や違和感を感じる人も中にはいるかと思います。そのような場合、手元供養という方法があります。

保存する際の注意点

遺髪を保存する場合、遺髪が傷まないよう、いかに現状を維持するかが大切です。そのためには、直射日光に曝すことなく、湿気を吸い取るか逃がすことが大事であることは、前述のとおりです。また、ぞんざいに扱ったりしたのでは、遺髪を残した意味がなくなります。

遺髪の保存は、保管の方法だけでなく、供養の方法にも注意が払われなくてはなりません。神社仏閣に奉納した場合は、特に心配することはないでしょう。問題は、自宅保管している場合の供養の方法、つまり手元供養の方法です。

手元供養の方法には、幾つかの方法がありますが、ペンダントやブレスレットなどに遺髪を封入して、日常的に身に着ける方法があります。故人と最も密着した形で故人を偲べますし、最も大切に扱う態度だと思われます。最も簡単な方法であり費用負担も大きくはないので、故人を大切に扱う形として、ふさわしいと考えられます。

遺髪と手元供養

遺髪を手元供養したい場合、ペンダントに遺髪を入れ、それを身に着けあるいは身近において故人を偲ぶのも、その方法の一つです。故人を最も身近におく方法ともいえるでしょう。

このような手元供養の方法は、特定の宗教や宗派に限定されない人類全般に共通する自然な感情に合致する方法といえます。このようなペンダントに遺髪を入れるようなことは、古くから広く行われてきた供養の方法ではなく決まった作法はありません。故人のことを思い、大切に丁寧に扱えば特に問題はありません。
故人を大切に思う気持ちと態度がある限り、このような新しい方法も、徐々に広がって行くものと思われます。現に、ペンダントに遺髪を入れて手元供養する人が、増えつつあります。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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