知っておきたい!「遺言信託」の仕組みとは?

「遺言信託」とはどんな仕組み?

知っておきたい!「遺言信託」の仕組みとは? class=
信託銀行などで取り扱う遺言信託は、流れとして遺言書作成から始まります。最初に遺言を作成される方からの相談を受け、作成者の意向・相続人や受取人・相続財産等を取りまとめます。本人の生涯設計や生前贈与も含めた遺産相続全般についてアドバイスし、時には弁護士や税理士とも協力していき公正証書役場での手続きになります。公正証書作成には2名以上の立会人が必要で他に信託銀行などの職員が付き添います。

遺言信託の申し込みには公正証書の正本(相続開始まで預かり)・戸籍謄本・不動産登記証明書・印鑑証明・有価証券資料などを準備して執行コースと保管コースの何れかに約定します。
保管コースは相続人の代表者に正本を渡して終了になり、執行コースは遺言執行人を信託銀行職員などが就任して相続開始になります。財産目録を作成した後に準確定申告や相続税のアドバイス、財産分割を行い、分割手続き終了に伴い遺言執行が終了になります。

どんな場合に、遺言信託は必要か?

遺言信託は遺言書通りに相続がキチンと行われるかの見守りだけでなく、遺言書を作成する必要性がある方に向いています。

例えば夫婦間に子供がおらず配偶者や兄弟姉妹などに相続権がある方では兄弟姉妹ではなく配偶者に全ての財産を渡したいケースがあります。親戚付きあいにもよるかもしれませんが、例え財産自体は僅かでも争いの種を取り除く効果は絶大と言えるでしょう。

他に相続人以外に財産を残したい・社会貢献で財産を団体(医療法人や母校・公共団体など)に寄付したいなど自分の意思で財産を分与したい方に向いています。信頼のおける人物がいても遺言通りに執行してくれるかどうかは分からないので、第三者である信託銀行に間に入ってもらう事で親戚間での争いの種を一つでも取り除いておく事が大事です。財産は僅かだから必要ないと思われるかもしれませんが、その僅かな財産のせいで人間関係はギクシャクするかもしれません。遺された人間関係の潤滑油として利用できる仕組みです。

遺言執行とは?その具体的な内容は?

遺言書の保管については信託銀行などが相続人の変更・相続財産の内容について定期的にチェックを行っていきます。

本人の逝去の知らせが届いたら、信託銀行職員が遺言執行人に就任して遺言書に従って遺産分割などのアドバイスを行っていきます。

最初に登記済み証明書や預金通帳・株券などを預かって財産や債務などを調査して財産目録を作成していきます。遺産の管理だけでなく名義変更や引き渡しなどを行いながら準確定申告・相続税の支払いなどのアドバイスなどにも応じていきます。遺産分割が完了したら遺産分割顛末報告書など報告書類を作成し対象者に提出して終了です。
ただし、必ずしも順調にいくとは限らず、遺産分割が円滑に出来ない場合は執行人を退く場合もあるのでトラブルになる可能性は生前のうちに対処しておきましょう。

財産目録も遺言執行対象財産のみになりますので予め確認しておきましょう。

遺言信託の手数料などの費用は?

信託手数料などの費用については基本手数料に加えて遺言書の年間保管料が必要になります。

基本手数料は保管コースと執行コースで金額が違いますが21万~57万程度になります。金額に大差がありますが細かいサービス内容が違いますので、値段で判断せずに自分の希望に合った銀行やコースを選択しましょう。

遺言書の変更手続きに関しては約54,000円の経費が掛かりますので注意しましょう。年間保管料は約7,000円程度になるので、維持費に関しては費用はあまりかかりません。

執行報酬については財産の評価額によって違いますが、評価額の0.3~2.2%程度となり、評価額が多ければ多いほど率は低くなります。

注意点として、基本手数料以外に不動産登記に関する取り寄せや売買手数料・鑑定評価手数料などは別途掛かります。また100~300万円程度の最低報酬額を設定しているケースもありますので、説明書をよくチェックする必要があります。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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