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お葬式は亡くなった方とのお別れの場。昔は近しい人達を招き数日かけて通夜と葬儀を行うのが普通でしたが、近年ではお別れの形も様々になっています。近年増えているのが、家族や親族などの近しい人達だけで葬儀を行う家族葬です。少人数で行うので、大切な人との最後の時間をゆっくり過ごすことができます。家族葬の場合、葬儀が終わってから知人や友人に死亡したことを伝えるのが通常の流れです。葬儀に参列しなかった人達が、後日改めて故人とお別れをするために設ける場が「お別れの会」です。
お別れの会にはっきりとした定義がある訳ではありません。一般的な葬儀が、死者の魂を慰めあの世へ送るための宗教的な意味合いが強いのに対し、お別れの会は故人と生前関わりがあった人達が集まり、故人の死を悼み人間関係を継承するために行います。宗教的意味合いより、社会的な意味に重点を置いているのが大きな特徴と言えるでしょう。また、葬儀は遺族が行うのが普通ですが、お別れの会は友人や知人が主催することが多いのも特徴の一つです。ただし、そのような場合でも遺族に必ず了解を取り、その意向にそった内容にする必要があります。
人が亡くなると、その後定期的に僧侶を招いて故人の魂を供養することになります。この宗教的な行事のことを「法事」「法要」と言います。宗教的な意味合いが強いため、内容や行う時期、目的が決まっています。言葉の定義からすると、まず「法事」は仏教行事全般のことを指します。その法事の一つである、故人の命日に死者の魂を供養する行事が「法要」と呼ばれるのです。仏教では、人が亡くなってから49日の間は、魂が成仏せずこの世を彷徨っていると考えられています。そのため故人の命日から7日ごとに忌日法要を行うことになります。特によく知られているのが命日から7日後に行われる初七日と、忌明けとなる四十九日法要です。最近では省略され、初七日法要を葬儀の日に執り行ったりする人も多いです。
定められた年の命日に行うのが「年忌法要」です。亡くなって1年目を一周忌、2年目を三周忌とし、その後6年目を七回忌、12年目を十三回忌とし、十三回忌を「年忌明け」とするのが一般的です。特に一周忌は最も大切な法要とされており、親族だけではなく故人と縁のあった友人知人も参加することが多いです。家庭や宗派の考えによって法要の内容は変わりますが、僧侶に読経してもらった後お焼香を行い、食事会を開催するのが一般的な流れになります。
宗教的な行事である法要に対して、お別れの会は宗教に囚われることなく自由な形で行うことができます。基本的に故人が亡くなってから2週間から1ヵ月ほど空けて行われることが多く、遺族も心が落ち着いた状態で参加することができます。一周忌に合わせることもありますが、こちらは「偲ぶ会」になることが多くなります。内容は自由に決めることができますが、「セレモニー形式」「会食パーティー形式」「混合形式」で行われることが多いです。セレモニー形式とは、通常の告別式に近い形で行われるお別れ会です。会場正面に祭壇を飾り、故人の経歴紹介や葬送儀礼、弔辞スピーチなどを行います。宗教儀礼を伴うお別れの会、というのが一番の特徴です。
会食パーティー形式は、弔礼や献花に加えて参列者が会食を行うというスタイルです。最初に弔礼や献花が行われ、その後食事に移ります。食事はビュッフェ形式が多く、立食になっていることがほとんどです。祭壇は簡略化されることが多く、それ以外に故人の生前を掲示したメモリアルコーナーや映像の投影など、故人を偲ぶ設営物や演出がある点も特徴です。会食途中で退場したり、献花だけ参加できるなど参加の仕方にも幅があります。最初に告別式と献花を行い、その後会食に移るのが混合形式で、宗教儀礼と会食の会場を分けることが多くなっています。
お別れの会はやることが決まっていないので、自由にアレンジを加えることが可能です。故人がお酒好きだったならいろいろな日本酒を取りそろえたり、会食会場にバーカウンターを設置するなどの企画が考えられます。その他にも故人との思い出の品を持ち寄ったり、故人へのメッセージを書いて貰うなど、故人を思いながら気持ちよく送り出せるような内容を考えるといいでしょう。ただしお別れの会はあくまで故人を偲ぶためのものなので、その趣旨を理解した上で企画、参加することが大切です。
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