エンディングノートとは何か?書く意義やメリットや注意点などを解説します。

エンディングノートというものを聞いたことがありますか?

エンディングノートとは、人生の終末期において考えるべき介護や財産、葬儀やお墓といったテーマで自分自身の情報や思いを書き記すノートです。
「終活」という言葉とともに浸透したこともあり、名前だけは知っているという人もおられるかと思います。
また、書店に置かれていたり、葬儀社のセミナー等で無料で配られることもあって、手に取って実際に見たことがある方もいるのではと思います。
しかし、エンディングノートを実際に書いてみた、またはご両親が書かれたエンディングノートを活用して、葬儀やお墓の準備を進めた、という経験のある人はまだ少数かと思います。
あるシニア向けのアンケートによると、エンディングノートの存在を知っていたり持っていたりする人は大多数でしたが、実際に書いた人は10人に1人もいなかったという結果が出ており、また、実際にエンディングノートを書いたという人も、途中で挫折したりとなかなか課題が多いというところが実情です。
存在自体はある程度知れ渡っているものの、一般的に考えが浸透し、有効活用されているという段階ではないようです。

エンディングノートを書く意義、メリットは?

しかし、エンディングノートを書くということの意義は、亡くなった方の意志がわからず、お金のことだけでなく、葬儀やお墓のことなどについて、残された家族が戸惑ったり、また場合によっては、争いごとにも繋がってしまうことが多く、そういった問題を解決する手段として役に立つということにあります。
また、問題の解決という側面だけでなく、自分の後世への望みや家族への思い、葬儀や宗教に関する自分自身の思いなど、普段伝えられないことを伝えることができる、という意義もあります。
なかなか自分自身が元気なうちから、亡くなることを考え、かつ家族に改まって伝えるということ自体ハードルが高いものですので、自分自身の心の整理としてエンディングノートを活用してみるのもよいでしょう。

エンディングノートと遺言書との違いは?

残された家族に伝えるものとして「遺言書」というものもありますが、これはエンディングノートとどう違うのでしょうか?
簡単に説明するならば、遺言書は、法的な拘束力があり、主に財産に関する決め事という明確な目的と書式が存在します。
一方エンディングノートは、比較的新しくできたツールであり、書式や書く内容は、エンディングノートを制作する会社によってさまざまであったりします。
法的な書類ではなく、あくまでコミュニケーション手段のひとつという役割です。

エンディングノートと遺言書の違い
①法的な拘束力:遺言書は遺族に執行する義務が生じますが、エンディングノートは特にそういった力はありません。
②書式の決まり事:遺言書に効力を持たせるためには日付や押印などが必要です(自筆以外は認められない、というルールは法律改正によりなくなりました)。エンディングノートには特に書式はありません。
③費用面での違い:正確に遺言書を書いたり、保管したりするためには、プロに相談する必要があり、遺言書作成には費用が発生します。エンディングノートに関しては、特に発生する費用はありません。

遺言書の保管や開示は厳密なルールがありますが、エンディングノートの使い方も使う側にゆだねられており、自分自身の心の整理、生前に家族に共有する、亡くなった後に見てもらう、などさまざまですので、気を楽に考えておくのがよいでしょう。

エンディングノートが挫折してしまう理由

割と自由に書くことができるエンディングノートですが、なぜ途中で書くの辞めてしまうということが多いのでしょうか?
理由の本当のところはわかりませんが、ひとつとして考えられるのが、各種エンディングノートに用意されている質問項目を埋めることが目的となってしまい、自分自身の思いやシチュエーションに合致していないという可能性があるのかと考えます。
自分自身が後世に残したり、引き継いだりしたいものは、その人その人によってかなり違うものになり、例えば、家業を子供に継いで欲しいかどうか、お墓を守ってほしいという思いがあるかどうか、などの違いで優先順位は大きく変わってしまいます。
エンディングノートの書式は、多くの人に当てはまるようにしているため、どうしても一般的な設問が多く、自分自身の思いを反映しにくいという課題があります。

エンディングノートの提案

エンディングノートに自分が伝えたいことを書き、それが残された家族に伝わり、読まれる、ということは、ある意味お葬式をやると同じくらい意義が出てくる可能性を秘めていると考えられます。
しかし、繰り返しになりますが、伝えたい思いは人それぞれなので、エンディングノートの書式に馴染まない人は1冊の白紙のノートで始めるのがよいのではないでしょうか。
料理が好きな人だったら、その人の家の味のレシピを書くのでも、家族の感謝の言葉や思い出のお話などを記するのもよいでしょう。
自分の家族が「困らないように」という考えだけでなく、「大切に考えている思いを次に伝えたい」という気持ちでエンディングノートに向き合うことによって、より本当の価値が見つかるのかもしれません。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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