ハロウィンとお盆の共通点とは?由来や違いについてもご紹介

ハロウィンは西洋のお盆?由来について知ってみよう

ハロウィンは、仮装して街を練り歩く様子が毎年メディアで取り上げられるなど、日本でも認知度の高いイベントになっています。実は、ハロウィンは「西洋のお盆」といわれ、日本のお盆とさまざまな共通点があります。生まれた場所や背景が異なるハロウィンとお盆に共通点があるのは驚きですが、どんな由来や意味があるのでしょうか。

ハロウィンの起源

ハロウィンは、ヨーロッパの古代ケルト人が行っていた「サウィン祭り」が由来とされます。「サウィン」は「夏の終わり」という意味があり、秋の収穫を祝うと同時に、死者の魂と一緒にやってくる悪霊を追い払う宗教行事として定着していました。サウィン祭りは、ケルトの暦でいう1年の終わりである、10月31日に行われたことはハロウィンと同様です。なお、ハロウィンという言葉は、聖人を意味する「Hallows」からきています。英語で「All Hallows」と表記される「万聖節」または「諸聖人の日」はキリスト教の祭りで、11月1日に行われます。その前夜祭が「All Hallow’s Even」で、短縮して「Halloween」といわれるようになったとされます。

日本のお盆について

日本で幅広く行われているお盆の由来は、仏教のお経に関係するといわれます。サンスクリット語で「逆さ吊りの苦しみ」を意味する「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経が語源とされますが、これには釈迦の弟子のエピソードがかかわっているようです。釈迦の弟子のひとりである目連は、神通力により、亡くなった母親が地獄で逆さ吊りの刑を受けていることを知り、救済方法を釈迦に乞い求めたところ、旧暦の7月15日に多くの高僧を心から供養するよう、すすめられます。教えの通りにした結果、無事母親が往生できたことから、その後、先祖の霊が返ってくるとされる現在の暦でいう8月中旬に、お墓参りや送り火などのお盆行事が行われるようになりました。

ハロウィンとお盆の共通点

ハロウィンとお盆の共通点の一つは、亡くなった方の魂が戻ってくると信じられている点にあります。ご先祖に対する敬意や愛着が込められていることは、行われる行事の内容や意味からも理解できます。ハロウィンでは、ゾンビや魔女、吸血鬼などの仮装をしますが、これは、故人の霊が家族に会いに来るタイミングで、一緒に訪れる悪霊を追い払う意味とともに、あの世で暮らすご先祖が驚かないようにとの配慮といわれます。日本のお盆では、家族や親族が一堂に会し、お供え物やお墓参りをしたり、ごちそうを食べて過ごすことで、ご先祖様を喜んでお迎えする姿勢を示します。

西洋のハロウィンと日本のお盆の共通点の二つ目が、野菜を使ってシンボルをつくることです。ハロウィンのイベントの象徴として描かれるカボチャは「ジャック・オー・ランタン」といわれ、悪霊を追い払いつつ、死者の霊を無事家族のもとに導くシンボルとしてつくられます。お盆には、キュウリやナスを使って「精霊馬」「精霊牛」をつくりますが、ご先祖が迷わないよう送迎する乗り物を意味します。ともに、身近な食材で作られる点も似ています。

ハロウィンとお盆は、お墓参りをする点も共通しています。ハロウィンというと、掘りぬかれたカボチャや仮装、パーティーなどがよく知られていますが、古くから行われているのは、お墓参りです。実際、伝統的なハロウィンを大事にしている地域では、お墓参りのために渋滞が起きたり、商業主義的なハロウィンの行事を禁止するところもあります。お盆の時期に渋滞が話題になる点は、ハロウィンの本来の姿に似ているといえます。

ハロウィンとお盆の違い

ハロウィンとお盆の違いですが、お盆はすべての霊を迎え入れるのに対し、ハロウィンは、ご先祖様の霊は迎え入れるものの、悪霊を追い払っていることです。実際、ハロウィンでの行事や用意するものに、魔よけの要素が色濃く出ていることがわかります。カボチャのシンボルもそうですが、子供たちが「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」と各家庭を回りながらお菓子をもらう習慣には、死者の魂と一緒に来る悪霊のいたずらを避ける意味があります。

行われる時期の違いに関係しますが、ハロウィンは収穫祭を兼ねているのに対し、お盆はそうではない点が異なります。ハロウィンは、古代ケルト人の収穫祭であるサウィン祭りが起源とされるため、考えや風習が受け継がれています。悪霊は、人だけでなく作物にも悪影響を与えるといわれ、ハロウィンには収穫を無事に行えるようにとの願いが込められています。いくつかの違いはあるものの、ハロウィンとお盆の根底にある考えは、ご先祖や故人に対する想いという点で一致しています。身近な人を亡くしたかどうかに限らず、このことに親近感を覚える方は少なくないかもしれません。

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