社会貢献にもなる【献体とは?】献体すると葬儀費用がかからない?

献体とは?

社会貢献にもなる【献体とは?】献体すると葬儀費用がかからない? class=
医師や歯科医師になるためには人体の構造を知る必要があり、そのために授業の中に解剖学実習が含まれています。
解剖学実習のためには実際の遺体が必要になります。最近では学部に限らず、将来医療職に就く人にはより高度な専門知識を身につけるために解剖が必要だという意見も増えています。
自分が亡くなった時、医学の発展のため、また学生の勉強のために自分の体を役立てて欲しいと希望し、大学や関連団体に提供することを献体と言います。献体は無報酬、無条件で行われます。本人が生きている間に自分の意志で大学や関連団体で手続きをし、人生を終えた後、両親や兄弟姉妹、配偶者や子供などの肉親の同意があれば献体されるという流れになります。
日本人は遺体を解剖によってこれ以上傷つけたくないという考えなどがあり、以前は献体数が少ない時期もありました。最近では高齢者による献体希望者が増えてきています。

献体すると葬儀費用が掛からないは本当か?

遺体は48時間以内に献体として提供されるのが望ましいとされ、葬儀を済ませてからの搬送も可能です。まずは献体を優先し、遺骨が戻ってきてからゆっくり葬儀を行うこともできます。
この時の搬送費用や、解剖後の火葬費用は生前手続きを行った大学や団体に負担してもらえます。
ただし、お通夜や葬儀をする費用は遺族が支払わなければなりません。
献体後の遺体は防腐処理に3ヶ月から半年かかります。その後解剖されてから1人ずつ納棺され火葬となります。遺骨となって遺族のもとに戻るまでに1年から2年半ほど時間がかかります。遺体ではなく遺骨を前にして行われる葬儀は骨葬と呼ばれます。
献体者に家族がいない場合は、大学などの納骨堂に合祀され、慰霊祭も行われていますが、大学によっては納骨堂が設置されてない場所もあります。自分の骨がどこに落ち着くのか、献体の手続きの際に確認しておくとよいでしょう。

献体の手続きは?

まずは献体手続きを行っている大学や団体を探します。
亡くなった後はなるべく早く搬送される必要があるため、住んでいる地域内や近くの大学などに限られます。一度献体登録をしたけれど引っ越しなどで大学から遠くなった場合は、あらためて近くの大学や団体での手続きが必要です。
登録の際は年齢制限が設けられる場合があり、一般的には高齢者が優先されます。
申し込みが受理されると、会員証と献体登録証が発行され、会員証には亡くなった時の連絡先や献体する大学名が記載されています。
献体は自分の死後に行われるものであり、家族の同意により搬送されます。生前から家族に献体登録をした事を話しておくなど準備をしておくことも大切です。家族もそれによって葬儀の形などを考えるきっかけになります。
旅行や出張中に思わぬ形でそうなった場合にも対応できるよう、会員証は普段から身に着けておくとよいでしょう。いざという時に生前の希望通りに手続きしてもらえる可能性が高くなります。

献体のデメリット・注意点

死後に臓器を提供するドナー登録をしている場合は、ドナー登録が優先される場合があります。ドナー登録と献体手続きを両方しておくこともできますが、いざという時にはどちらか一方しか行えません。
生前にかかっている病気や体の状態によっては献体手続きそのものが難しい場合があります。過去にかかった病気や現在かかっている病気がある人は、手続きの際に献体できるか確認が必要です。
病気で入院して死亡し、病気の原因を調べ、診断するための病理解剖を行った場合や、伝染病で亡くなった場合は解剖学実習ができないので献体はできません。
献体後の火葬は家族の立ち合いは許可されていません。遺骨となった後に家族のもとに戻ります。
最近では葬儀代がかからないから献体したい、高齢者が家族に迷惑をかけたくないと登録するケースもあります。そのため、現在は献体希望者が増え、登録を制限している大学もあります。献体とは葬儀代の節約や遺された遺族の負担を軽減するためにではなく、医学の勉強や進歩のために行われるものです。本当にそれが自分や家族のためになるのかを考えてみることも大切です。

この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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