意外と難しい?家族だけのごく小規模なお葬式においての注意点やマナーに関して解説します。

数名程度のごく小規模なお葬式や火葬のみのお別れが今増えています。

現代(2022年)のお葬式は、数年前と比較してより規模が小さくなっています。「家族葬」という言葉は一度は聞いたことがあるかと思いますが、この言葉は20年ほど前から使われ始めており、
家族以外に、会社の取引先や近所の方を葬儀に呼ぶことが当たり前だった時代において、こじんまりとお葬式をするニーズを捉えた新しいスタイルとして浸透しました。
「家族葬」という名前ですが、実際は親族や親しい友人などを集めた小規模なお葬式という意味あいで、お葬式の内容そのものは一般のお葬式と変わることなく、葬儀のマナーや作法、注意点などはそのまま引き継がれたと言えます。

しかし、コロナ禍を経た現代では、「家族葬」の中でも特に配偶者や子どもといった近親者のみが集まる超小規模な家族葬が増えてきています。
また、同時に葬儀を行わない「直葬」も割合が増えており、感染症対策などの理由がなくとも、会葬者は少ないままではないか、という予測もされています。

ごく近しい家族だけが集まるお別れなので、マナーや作法はあまり気にしなくてもよいのでは、という意見もあるかもしれませんが、葬儀は、参列者だけでなく、宗教者との関わりや、葬儀に参加していなかったが、生前お付き合いの深い方など、気にしなければならない点はもしかしたら今以上に多くなったかもしれません。
そんな現代の事情に合わせたお葬式に関するマナーや注意点などをFAQ形式でいくつか紹介したいと思います。

香典や御礼の品は出したほうがいい?

家族数人の葬儀に香典は必要なのか?という点に関してですが、基本的には不要となります。
葬儀のスタイルというより遺族との関係性によりますが、自分が参列者だった場合は、自分自身が喪主・喪主の家族の場合であることが多く、特に家族間のやり取りは不要と感じたら出す必要はありません。
香典は基本的には葬儀に参列した方が出すものであり、葬儀代金の負担を軽くするという意味を持ちます。
超小規模な葬儀の場合、そこまで葬儀にお金がかからないということもあり、参列しない方の場合は特に送らなくてもよいかと思います。家族だけの葬儀をしたいという方は、参列の御礼や香典のお返しをするのが大変だと考えている場合もありますので、そういった喪主の思いも考えると、無理にお渡しする必要はないかと思います。

火葬のみでも、菩提寺に読経をあげていただいたほうがいい?

以前であれば、通夜・告別式それぞれに読経を行い、精進落としや火葬の時まで僧侶とともにお葬式を進行していくという形でしたが、通夜を行わないことや、一緒に食事を召し上がってお話をする機会なども減ってしまい、お寺との接し方も変わりつつあります。
火葬のみをする場合でも、僧侶をお呼びし読経してもらうことは可能ですが、最後の数分間だけとなり、深い関わりを持ちにくくもなっています。

菩提寺が遠距離にある場合は、以前は出張して読経してもらうこともありましたが、例えば上記の火葬のみのお別れの場合などは、読経は菩提寺とは別の僧侶が行い、納骨の際に菩提寺で弔ってもらうなどのケースも増えています。菩提寺が葬儀から納骨まですべてを行う、ということが一般的でしたが、そういった常識も変わりつつあります。

お葬式の服装は?家族のみの葬儀でも喪服は必要?

参列者は家族のみであっても、僧侶の方や葬儀会館や火葬場で様々な人に会うことになるため、基本的には、喪服を着用することが無難です。ただ、ごく少人数の家族葬の場合、多くの方の前で挨拶をしたり、儀礼を重んじる必要性は低いため、正式なものではなくて、落ち着いた黒系統の服であれば問題ありません。
また、無宗教で葬儀を行う場合は、告別式の前日などは家族だけでお通夜を過ごすパターンもあります。そういった場合は喪服にこだわらず、家族で話し合いながら、一番しっくりくるスタイルで過ごすのがよいかと思います。

供花や弔電は送ったほうがいい?

お葬式におくる供花の役割は花祭壇の周りにさらにお花を飾ったり、花祭壇の装飾に充てたりすることなどであり、例えば火葬のみのような式や自宅で小さくお葬式をやる場合は、供花を贈るケースはあまり一般的ではありません。弔電も、会場でセレモニーを行う際に読み上げるものであるため、式を行わない場合は必要のないこともあります。

基本的には、葬儀のご案内が来た際には、参列や供花、香典、弔電などを辞退するかどうかが記載されていますので、それに従えばよいのですが、記載がない場合は、贈っても構わないということになります。
供花、弔電は規模に関わらず贈っても問題はありませんが、もし気になる場合は、葬儀社か喪主に確認をすることをお勧めします。

まとめ

規模が小さくなっても、人間関係がなくなるわけではなく、時代とともにマナーや作法が変わっていきます。
しかし、原点にあるのは、その行動や言動を相手が気持ちよく受け取れるかどうか、ということであり、それは昔から変わることはないかと思います。
お葬式は、厳粛な場であると同時に、最も親しい人をおくるプライベートな場所でもあります。
一般的な考えはおさえておきつつも、自らの考えや思いを大切に周囲の方々と一番よい故人とのお別れができることが一番ですね。

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