2022年度版。葬儀に必要なお金について再検証してみました。

葬儀に必要なお金は今、変わりつつあります。

コロナ禍以降、葬儀のお金に関わることも変化しています。

ご家族あるいは自分自身が亡くなった時、どれだけのお金を用意しておいたほうがよいか、考えたことはあるでしょうか?
終活を進めるにあたって重要なテーマであるとともに、多くの方が関心を持っている事柄であるため、インターネットや雑誌の記事などで多数取り上げられています。

しかし、その元となるデータは、数年前にアンケートを取ったものなどが多く、必ずしも現在の事情に合致しているとは限りません。
特に、2020年のコロナ禍以降と以前では、葬儀の行い方が大きく変わり、それに伴い、供養自体の在り方も変化していると言えます。

以前、「コロナ禍における葬儀」において、葬儀の規模縮小に関する記事を書きましたが、この傾向が一般化すると、一般的に言われてきた「日本は葬儀代金が高い」という認識を変える必要が出てくるのかと思います。

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また、樹木葬など永代供養の選択が増えることによって、お墓にかかる金額も減少していると考えると、「葬儀にかかるお金」の見積りは、かなり下方修正することになります。

コロナ禍が終わり、通夜や飲食が普通に再開できるようになると、また事情が変わってくることも考えられますが、今後、自分自身の判断で、「葬儀を最小限の規模で行う」「お墓に入らない」という選択がより選びやすくなると考えられます。
葬儀の規模や、埋葬方法の種類などで、必要なお金がどれくらい変わってくるのか、2022年の事情に合わせて解説していきます。
ご自身の終活などの参考になれば幸いです。

葬儀に必要なお金について

葬儀の方法によって、かかる費用は当然異なってきます。葬儀費用の平均単価に関する調査は数多く行われていますが、例えば、日本消費者協会の「2017年葬儀についてのアンケート調査」というものでは、全国平均は195万円となっており、他のデータにおいても多少の差はあれど、コロナ以前のものに関して言えば、同じような結果となっています。
そのため、「お葬式をするためには、それくらいは必要なんだ」という認識をなんとなく持ってしまうかと思いますが、ここ最近、特にコロナ禍で実際に行われた多くの葬儀はかなり変動があったと考えてよいかと思います。実際、日比谷花壇のお葬式のケースを元に、必要になるお金を紹介します。

参考:日比谷花壇のお葬式

・葬儀代金(葬儀社に支払うお金)

直葬(火葬のみ)の場合:20万円~30万円
一日葬:80万円~100万円
家族葬:110万円~130万円

・式場料金

~30万円

・火葬費用(火葬施設に支払うお金)
~10万円

・お布施
火葬のみの場合:無宗教で行うことが多い
葬儀:10万円~

合計:25万円~200万円

葬儀をするかしないかで、大きな差がありますが、一番変化があったのは、会葬者が大きく減少すると同時におもてなしにかかる費用が下がっている、ということになります。
かつては、お世話になった方や近所の方は葬儀に「呼ばなければならない」という感覚で葬儀を行っていたかもしれませんが、今は積極的に葬儀をしっかりやりたい、と考える方以外は、家族中心の少人数での葬儀を行うことが主流化しています。

感覚的ではありますが、

火葬のみで葬儀はやらなくてよい:40万円以下
最小限規模の葬儀でよい:120万円程度
おもてなしを含め、関係者を呼び葬儀を行いたい:200万円程度

くらいが今の相場といってよいかと思います。

お墓・埋葬に必要なお金について

お墓に関しても、今大きな変化が見られます。ここ数年の動きではありますが、今最も購入が多い埋葬方法は「樹木葬」です。
お墓と言えば、霊園や寺院、もしくは現在都内等で増えつつある納骨堂などをイメージされるかと思いますが、埋葬方法もまた、選択の幅が広がっています。

お墓に関しては、墓石の種類や場所、広さなどによって大きく異なりますが、多くは100万円以上かかると思ってよいでしょう。
個別で埋葬・供養するタイプの納骨堂・樹木葬は、50万円~100万円ほどの費用が一般的です。
個別ではなく、合祀をする場合は、お墓、納骨堂、樹木葬どれでも、5万円~40万円程で埋葬ができます。

供養に関わるお金について

葬儀後の供養に関して、一番費用がかかる項目は、仏壇になり、仏壇の平均相場は35万円程です。ただし、近年は小さな仏壇や、宗教色の薄いメモリアルグッズなどが人気となっており、その場合は10万円以下で購入することができます。
また、四十九日法要、一周忌法要にかかる費用は、お布施も併せて10万円~20万円程度になるかと思われますが、葬儀規模の縮小に伴い、法要に参加する人数も減少しているため、費用はさらに減っているかもしれません。また、葬儀の無宗教化によって、法要自体が行われないことも増えています。

まとめ

葬儀やお墓などの価格自体が値上がり、値下がりしたということではありませんが、供養周りの価値観、スタイルの変化によって、必要だと思われるお金が当事者によって、大きく変わってきます。
葬儀だけでなく、その後の供養などもすべて最低限にした場合は、すべて合わせても30万円ほで済むことになります。
葬儀や供養は行うが、身内だけで小さく行う、という場合だと200万円以内、今まで通り会葬者や宗教者をお呼びし、しっかり供養をしたいという場合は、全部合わせると300万円近は準備しておいたほうがよい、ということになります。

かつては、「葬儀に必要以上にお金がかかってしまった」ということが葬儀サービスの不満の上位に上がっていたこともあります。
葬儀の簡素化、縮小化は、葬儀に携わる人間としては、少し寂しい気持ちもありますが、お金をかけて葬儀をやることが「常識」だから、ということではなく、自らの選択で、納得した中で「やる」「やらない」を決める時代になったことは良いことではないかと思います。

是非、自分自身の葬儀やお墓についても何がよいのか、考えてみてください。

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この記事を書いた人

株式会社日比谷花壇 
フューネラルプロデューサー
金澤 和央(カナザワ カズオ)
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